宣教局局員 佐伯 真

  
 6月27~29日に、北日本教職セミナーが、北海道にて開催されました。今回はOMSが主導する教会増殖のセミナーで、ウォーレン師ご夫妻、セクストン師に加え、昨年より教会増殖の働きをさせていただいている佐伯が参加させていただきました。今回のセミナーでは、訓練と増殖の開始コースである全10回のセッション中の半分である5回を受講いたしました。10セッションの受講を終えた者はT&Mのテキストなどを使用するライセンスが与えられます。期待と戸惑いの中で始まったセミナーは、ロールプレーと実践によって、次第に全体像が明らかにされていきました。
  
 そもそも、教会増殖とは何であるのか。私自身の理解では「御言により、信徒を訓練し、信徒の宣教を通して教会を建て上げる働き」と受けとめています。これまで30年間、消滅の危機にあえぐ地方伝道に携わりながら、信徒教育の大切さを痛感してきました。試行錯誤しながら、帰納的聖書研究の方法を用いた「個人ディボーション」と小グループでの「聖書研究」を25年ほど実践してきました。その結果、個々の信仰は飛躍的な成長が与えられました。しかし、それが宣教へとつながっていかないのが悩みの種でした。
  
 ところが、昨年の夏から始まった「教会増殖」の働きを通して、短期間でその問題は解消されました。まずは内なるクリスチャンホームの夫婦関係や親子関係が改善から始まり、癌末期の兄弟が悔い改めに導かれ召天されました。その時の遺言証しビデオはネット上で見られます(https://youtu.be/otxQ6MW6z3Q)。そして、開始三ヶ月目には、訓練生の伝道により19歳の青年が救われ、イースターには受洗にまで導かれました。現在では、訓練生による第二世代への訓練も始まっています。
 
  弟子訓練は、テキストを用いて、基本は一対一での御言による訓練となります。御言を共に味わいながら寄り添い、質疑応答、暗唱聖句、実践課題の簡単な構成になっています。このテキストは、初代教会で行われてきた使徒的宣教と教育、そして対話的牧会ともいうべき御言による教育プログラムです。教会消滅の危機を克服する宣教のパラダイム転換の一つが、教会増殖であるのかもしれません。
  

(「りばいばる」誌巻頭言 2017年8月号)
宣教局長 中道 善次
 

 バプテスト教会出身の宣教師から、「チャーチ・プランティング・ムーブメント」(英語の頭文字を取ってCPMと言う、直訳すると「教会開拓運動」)という題の本を紹介されて読んだのが10年以上前であった。バプテスト教会の宣教師が書いた本で、日本語にも訳されている。著者はデビッド・ガリソン。邦訳は、日本バプテスト宣教団バプテストメディアセンターから出版されている。それから1年後、OMS日本の宣教師たちから、CPMを同盟の本とともに紹介された。
 
 その本の冒頭の部分で、次のような事例が記されていた。西ヨーロッパに派遣されていた宣教師が、半年間の本国での働きを終えて宣教地に戻った。彼の不在中に、集会の数が3倍に増えていた。人為的に何かがなされたのではなく、聖霊のお働きである。そのような現象が、世界の各地で見られるという報告が1990年代からなされている。多くの人々が救われ、新しい群れ(スモール・グループ)が次々に生まれ、信徒リーダーたちが起こされていた。世界各地の聖霊の働きを観察して書かれた本が、CPMであった。著者は、各地で起こされた現象から10の原則を引き出した。内容を説明するスペースはないが、10の原則の各項目を紹介したい。
 
1.並はずれた祈り
2.福音の豊かな種まき
3.意識的な教会の開拓と再生産
4.聖書の権威
5.現地の人々によるリーダーシップ
6.信徒のリーダーシップ
7.ハウスチャーチ
8.教会を開拓する教会
9.急激な倍増化
10.健全な教会
 
 OMSの宣教を推進するECC(すべての造られた者にキリストを)は、CPMという現象を戦略化して、CM(チャーチ・マルティプリケーション、訳して教会増殖)という宣教の方策を打ち出した。聖霊のお働きを邪魔しないことを念頭に置いた戦略であることは言うまでもない。CMの働きは、全世界のOMSのフィールド(宣教地)に広がっている。

 日本ホーリネス教団では、戸惑いを覚えつつも、主が世界でなされている働きを覚え、日本で適用可能なスタイルを模索している。
 
 教団内の一つの教会がこの夏からCMに取り組んでいる。神が世界でなしておられる働きが、日本でもとどめることができないほどの勢いで広がり、日本宣教1%の壁が打破されるように。
 

(「りばいばる」誌巻頭言 2016年7月号)
高知グレースチャペル 佐伯 真

 
 この夏から、高知グレースチャペルでは教会増殖(Church Multiplication)のプログラムを始めました。OMSが2006年より宣教戦略の中心に据えている、信徒訓練プログラムです。夏期伝道では、東京聖書学院の伝道チームが派遣され、アメリカからはネットを使ってボブ・ウォーレン先生からのレクチャーを受けながらの取り組みとなりました。
 
 現在もその働きは継続され、30代から60代の7名の兄弟姉妹が、週に一度、牧師と一対一の膝詰めで訓練に取り組んでいます。高知グレースチャペルでは、これまでにも様々な聖書教育による信徒訓練を試みてきました。長年取り組んできたのが、小グループによる問答形式による帰納的聖書研究です。この方法により聖書知識が深まり、信仰の成長が与
えられ、次の世代の信仰継承にまで至ったことは感謝でした。
 
 しかし、信徒による教会外に向けての伝道という点では、足りなさを感じていました。その点、このCMプログラムは、毎回の課題から人との関わりを通して、伝道と証詞ができる信徒を養成する人作りのプログラムです。ある程度の訓練を受けた者は、指導者として次なる信徒訓練に当たりますから、次から次へと乗算的に信徒伝道牧会者が育成されていくことになります。
 
 テキストも取り組みやすく、信徒が指導者になっても十分にこなすことができる内容になっています。これまでの訓練で、訓練生に霊的な成長と変化が与えられています。まだ始まって数ヶ月にもかかわらず、家庭内の親子関係や家族関係に悔い改めと和解が起こり、具体的な人間関係の修復が起こされているのは驚きです。訓練生一人ひとりに牧者の
心が養われ、いかにして福音を伝えようかという救霊に対する思いも高められているのも確かです。現在はまだ、教会内部での変化なのですが、いずれは伝道の大きな力になっていくことでしょう。

 牧師不足が叫ばれる昨今ですが、信徒のみなさんによる牧会と伝道の手助けがあれば、兼牧の問題も解消されるばかりか、福音宣教が飛躍的に前進にするに違いありません。CMの訓練は停滞する日本の宣教の突破口となる可能性を秘めています。みなさんの教会でもぜひとも取り組まれることをお勧めいたします。
 
(「りばいばる」誌2016年12月号「明日への種まき…四国教区における取り組み…」)
 

 

  高知グレースチャペル 佐伯 真

 
 いのちのことば社から、「『データーブック』日本宣教のこれからが見えてくる」が発刊されました。その中に掲載されているデーターを見て、愕然としたのは私だけではないはずです。2014年までの15年間に、日本ホーリネス教団の礼拝出席者数(28頁)の減少はマイナス824人にもなり、全礼拝者数は五千人を下回っています。また、教職者の年齢分布(51頁)によれば、2016年現在全教職者数252名中65歳以上の教職は106名、しかも30歳以下の教職はわずか7名です。教団もさらなる牧師不足の時代を目の前にして、牧師、勧士の養成、次世代育成などに本腰を入れていますが、統計からしても今のままでは、大変な事態が予想されます。
 
 また、「クリスチャン新聞」(2016年11月6日号)の「日本の教会教勢」の特集にもありましたが、「礼拝者数階級別教会数」の統計を見ますと、時代や地域を越えて、一牧師が牧することのできる限界人数が20~30名であることがグラフに表れています。キリストのからだなる教会は、牧師一人で建て上げられる訳ではありません。信徒の働きが必要なのです。
 
 復活の主が語られた大宣教命令(マタイ28:18~19)に従った初代教会では、宣教(ケリュグマ)のための教育(ディダケー)が大切にされて、「教えることのできるような忠実な人々に、ゆだね」Ⅱテモテ2:2)られて、福音は全世界へと広がって行きました。OMSのボブ・ウォレン先生は。“Disiples Making Disiples”「弟子が弟子を作る」ことだと言われました。牧師が信徒を育成し、その信徒がまた弟子作りに励むという人作りのプログラムなのです。
 
 OMSから提供され、世界中で効果が実証されているこのプログラムは、御言葉による質疑応答、暗唱聖句、実習課題からなる牧会リーダー養成プログラムになります。内容も救いの基本から始まり、牧会から伝道、奉仕に至るまで、実にバラエティに富んでいます。信徒訓練の必要性を感じる方であるなら、誰でも取り組むことのできる簡単な内容です。
 
 12月号の「明日への種まき」でも紹介させていただきましたが、地方の小さな教会にまかれた種は、すでに生き生きと芽が出始めています。第6回日本伝道会議でも都市部の教会、開拓教会、ユース伝道、被災地の教会でも教会増殖の働きが取り上げられ、その効果が認知され始めています。みなさんの教区や教会でも、始めてみてはいかがでしょうか。
 

(「りばいばる」誌2017年1月号)