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 (「かしの木」2014年第53号 巻頭言) 

「錬達した働き人を目指す」 

奉仕局長 内藤達朗
 
「あなたは真理の言葉を正しく教え、恥じるところのない錬達した働き人になって、神に自分をささげるように努めはげみなさい。」 第二テモテ2章15節

 奉仕局の連絡協議会では、特に医療と介護に従事しておられる方々が集まり、これらの分野でどのように教会と社会に仕える必要があるかを話し合っています。たとえば、医療に関して、様々な医療の進歩とともに、今まで考えられなかった病気も出てきている現代で、医療関係者として、どのように生きるかが問われることを課題として話し合っています。医療の現場では、神さまの創造された世界の秩序の中で、病の癒しとはいえ、ここまでしてよいのか、とか、神さまはこの課題をどうお考えになっておられるのかなど、課題も多いことでしょう。

 その実際として、「臓器移植」と「性同一性障がい」について医療関係者の方からその現状を伺いました。臓器移植には様々な臓器の移植があることを伺いました。これは医療の進歩の中で、癒しのため行われておりますが、毎日の目まぐるしく進歩する医療技術の現場で、神さまの創造の秩序から問い直すこと、神さまのみ旨を問うことが大事ではないでしょうか。できることと、してよいことと、どこまですることが必要か、本当にそうすることが患者さんにとって幸いなことなのか、悩む中で見つけ出すことです。

 しかし、様々な課題は、神さまが私たちに真剣に問われていることだと思います。答えが出ないことであるかもしれませんが、クリスチャンとして医療に携わっているという働きでこの点においても「錬達した働き人」になることを主は願っておられると思います。このような課題に取り組み、考え、悩むことで、真理という神さまのお心、お考えを見出すことができるのではないでしょうか。このように考えるとき、「真理」とは自明のことで、人間の手に握ってこれが真理だとは言えないものだという謙遜な思いも芽生えてくるでしょう。この意識が主に仕え、教会と社会に仕える姿勢を整えることとなるのです。

 もう一つの「性同一障がい」についてもご指導を頂きました。聖書には与えられた性以外を求めることは許されていないという考えもあります。諸外国のある教会では同性愛や同性婚が許されているところもあります。しかし、これと「性同一性障がい」とを即一緒にして考えることは困難です。「性同一性障がいとは何か」について誕生の不思議からご説明いただきました。誕生の過程の中で、与えられた性と同一になれない障がいを負われることがあるということでした。詳しくは省きますが、本人が望む、望まないではなく、誕生の過程の中で、本来、与えられる性と同一の性を有するはずが、そのようにならない方もあるということです。その方にとっては、体の性と誕生する時に形成される性とが同一でなかったという事実に直面しているというのです。ご本人ではどうしようもないことなのです。医療の専門家ではないので、適切な説明ができませんが、いずれにしても、このような課題を自分だけで偏って考えるのではなく、専門家の話を聞き、いったい何が起こっているのかを知ることが必要です。私達が理解していることは、憶測や偏った知識に基づくことがあります。この点でも、私達は真理に耳を傾ける必要があります。それによって、自分の働きに神さまの示唆を頂くことができます。

 問題や課題は、神さまから私達への語り掛けを含んでいることが多いです。その働きをしつつ、その働きを通して神さまのみ旨を推し量ることができます。そしてそれが、この世界を適切に治める知恵と思いやりとなることでしょう。

これは医療だけに限ることではありません。私達の携わっている働きのそれぞれで、同じような取り組みをすることが私たちクリスチャンには課せられています。そのような営みで、「錬達した働き人」へと形成されていくことを願っています。そして、それぞれの働きの分野で、これらの営みを重ねることで、この世界の神さまのみ旨が一歩一歩と実現していくことでしょう。

 私達の礼拝やみ言葉や祈りは、この課題に気づかせ、考えさせ、探求させ、判断させ、指針を受け、決断し、行動へと導かれるためにとても大事な生活です。与えられた信仰の生涯を、それぞれの場で歩み、使命を果たさせていただきたいものです。