(2018年2月「りばいばる」奉仕局だより)

「終の棲家を考える」

奉仕局員 杉澤 玉美

 11月23日、上野教会を会場に奉仕局セミナーが開催され、参加者は63名でした。はじめに藝大ゴスペルアンサンブルによる賛美演奏が行われ、「ありえないことが私に起こった」との賛美や証詞に主の御名を崇めました。
 今回は『終の棲家を考える』と題して、親の介護や自らの老後を見据え、今後どこへ行ったらいいの? どのようにしたらいいの? どのような施設があるの?どうしたら入れるの? などの問いに応えるべく介護保険のシステムや現状、動向などを中心にお話しさせていただきました。暮らし方は、大きく「在宅生活」と「入所生活」の二つにわけることができます。
 医療、介護の費用が増大化してきている現在、在宅へ在宅へとの流れがありますが、すべてを家庭で賄うというよりは、介護サービスや地域の力を借りながら住み慣れた地域で暮らすという型がここで言う「在宅生活」です。
 介護サービスを使うためには、まずお住まいの市区町村介護保険課に介護認定の申請を行い、介護認定〈要支援1・2、要介護1・2・3・4・5〉を受けなければなりません。要介護決定後、居宅介護支援事業者を決め、ケアマネージャーさんとケアプラン(介護計画)を作成し、サービスの利用開始となります。具体的な在宅サービスには「訪問・通い・泊り」があり、複数の組み合わせや単独での使用があります。介護度に応じて利用の制限があり、使用できるものとできないものがあります。利用開始と同時に介護保険費用の1割(2割)の負担が発生します。
 自宅を中心に利用するサービスには次のようなものがあります。
 
在宅生活
 
【訪問】自宅を訪問してもらう。
・ 訪問介護(ホームヘルプサービス・身体介護や生活援助)
・ 訪問入浴介護(浴槽の持ち込み有)
・ 訪問看護(医療処置、管理)
・ 訪問リハビリテーション(自宅で専門家による機能訓練を受ける)
・ 居宅療養管理指導(医師、歯科医、薬剤師、歯科衛生士等の療養管理)
・ 夜間対応型訪問介護(夜間に訪問介護を受ける)
・ 定期巡回・随時対応型訪問介護・看護(24時間対応介護、看護)
【通所】施設に通って利用する。
・ 通所介護(デイサービス・食事、入浴など)
・ 通所リハビリテーション(機能訓練)
・ 認知症対応型通所介護(認知症の方)
【泊り】短期間施設に泊まる。
・ 短期入所生活介護(ショートステイ)
・ 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
【通い中心の複合型】
・ 小規模多機能型居宅介護(通い・訪問・泊りを組み合わせたサービス)
・ 看護小規模多機能型居宅介護
【環境整備サービス】1割(2割)負担
・ 福祉用具貸与(13種類)
・ 特定福祉用具購入(年10万円)
・ 居宅介護住宅改修(原則1回、上限20万円、工事前に申請)
【介護保険外サービス】
各自治体で異なりますが、配食サービス、紙おむつ支給、訪問理美容、緊急通報システム、特別乗車券など。
 
入所生活
 
【入所】自宅から移り住んで利用する
・ 認知症型共同生活介護(グループホーム、認知症高齢者が共同で生活)
・ 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、必要時に介護サービス利用)
・ 介護老人福祉施設入所者生活介護
【介護保険施設】要介護1以上
・ 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム。日常的な介護、要介護3以上)
・ 介護老人保健施設(リハビリに重点)
・ 介護療養型医療施設(病状が安定して長期療養が必要な方)
 
 最近は予防介護に力を入れ、28年度から介護予防事業が始まりました。要支援の方は地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)の方と介護予防ケアプラン(訪問・通所・運動教室など)を作成する方法もあります。引きこもりや孤立をなくそうと「オレンジカフェ」と名づけ、週1回百円程度で、どなたでも気軽にお茶を飲みながら話や相談がで
きる場が地域に設けられています。また判断能力が十分でない方のために、成年後見制度(3種類)があり、家庭裁判所への後見人の申し立て手続きで利用できます。

【法定成年後見制度】3種類
後見… 財産管理、処分ができない場合
保佐… 財産管理、処分について常に援助が必要な場合
補助… 財産管理、処分について時に援助が必要な場合
【任意後見制度】将来に備え、法律行為を任せる人を登録しておく。
 
 一般的に弁護士、司法書士、社会福祉士等が有料で行いますが、御家族が行うこともできます。以上、詳細はお住いの市区町村にお問い合わせください。

杉澤玉美プロフィール
 坂戸教会教会員。東京聖書学院卒業後、ホーリネス教会で、牧師夫人として12年間奉職。その後、キリスト教保育園、介護老人施設に勤務。認知症対応型共同生活介護施設「グループホーム福音の園・川越」開設に伴い、計画作成担当兼介護ヘルパーとして勤務し現在に至る。主任介護支援専門員。介護福祉士。